杉玉の交換

2010/11/14

ブログ

枕詞(まくらことば)というものをご存知ですか?
たしか、中学校の国語の授業で和歌を習った時に出てきたハズです。

たとえば
  • たらちねの 母
  • ひさかたの 光
  • あをによし 奈良
それぞれ、母などの言葉にかかるわけですね。

そして味酒(うまさけ)は三輪にかかる枕詞。

絶世の美人であったとされる、額田王(ぬかたのおおきみ)が
都が近江に遷される際に詠んだ長歌でも知られていますね。

万葉集(巻一・十七)

味酒 三輪の山 あをによし 奈良の山の 山のまに い隠るまで 道の隈 い積もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 心なく 雲の 隠さふべしや

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(c) トミオ 写真素材 PIXTA


三輪は奈良県桜井市にある三輪山のこと。
山全体が神様として神聖な場所です。
最近、パワースポットなどという言葉が流行り
一気に注目を集めましたね。

その三輪山を祀る神社が大神神社(おおみわじんじゃ)。
日本最古の神社。
そして酒の神様としても知られています。


そして今日11月14日、大神神社で「酒まつり」が行われました。
全国から酒造業者さんや杜氏さんが集まり、
「うま酒」が出来るよう祈るのですね。

最後にコレ。なんだかご存知ですか?
伝統素材を伝承していくために


杉玉(すぎたま)、または酒林(さかばやし)などと呼ばれます。
造り酒屋さんが、「新酒がはじまりましたよ~」とお知らせするものです。
青々とした杉の葉が茶色く変わっていけば、お酒も熟成し始めた証拠。
毎年、新酒の際に交換されるのだそうです。

しかし、大神神社さんから造り酒屋さんへ贈られる杉玉には
もっと大切な意味があります。
必ず杉玉にこのような手紙が添えられているそうです。
志るしの杉玉
当神社は、古来より杉のお社ともいわれてきました。ご神体山の三輪山は千古斧を入れず、杉木で覆われ、ご神木となっております。三輪大神の神霊の憑依する象徴として、この杉葉で造ったのが「志るしの杉玉」です。杉玉は、「酒ばやし」「三輪ばやし」とも呼ばれますが、酒造りの安全、商売繁昌、子孫繁栄などを祈る「奇す玉(くすだま)」として、神棚や軒先に吊るし、鄭重にお祀りしてご加護をお受け下さい。
三輪明神 大神神社
造り酒屋さんのお守りだったんですね。

お酒をいただく私たちは
今年もうま酒にありつける健康に感謝しつつ、
美味しいお酒の出来上がりを待ちましょう。