必ず1度は目にする用語が「切り落とし造り」。
北関東あたりでのものがポピュラーなんですかね?
用語の説明だけではイメージがわかない方も多いのです。
なので実物の写真を用意してみました。
北関東は切り落とし造りと呼ばれる屋根の正面中央を切り取って窓にした様式が多く、高八方造りと同じく養蚕が屋根裏で行われていたためにそういう形になりました。-川上幸生著「古民家検定本」より-
こういう形なんです。これなら養蚕を行う二階の部屋にも光が届きますね。
「養蚕」…おかいこさんです。桑の葉をカイコに食べさせ、それが作る繭(まゆ)を絹糸の原料にするのです。
モスラが吐く糸。といえばわかりますかね?
だから養蚕農家が多かった北関東とその周辺ではこの形の民家が多いようです。
ちなみに写真の民家は分類上、「切り落とし造り」以外に
「赤城型民家」、「切り上げせがい」などと呼ばれます。
本当は民家の分類、もっともっと細部にわたってあるのですね。
さて、この民家を見ていきましょう。
残念ながら私が見に行ったときには中へは入れませんでしたから、外回りだけ。
冬なので枯れていましたが「草棟」「芝棟」。
屋根の頂部を「棟」といいますが、その部分は何らかのフタが必要になりますよね。
で、土を盛って植物を植える。すると根がはり補強にもなるそうです。
軒先には樋(とい)など付いていませんから、溝を掘って砂利を敷いています。
奈良の遺跡などでもよくみられる、古くからの知恵です。
暖かい日が降り注ぐ縁側は農作業にもってこいですね。
軒下から上を見上げると茅葺きのつくりがよくわかります。
茅もキレイに切りそろえられていますね。
切り落としの下屋庇は木の皮で葺かれ、上から竹で止められています。
軒天を見るとよくわかりますね。
文章よりも、写真よりも、自分の目。
自分で目的をもって確かめたことは必ず身に付きますよね。
だから、時間を作って必ず体験するように心がけています。