「大切な町並み」が失われるシルシ

2012/08/17

協会の活動

町なかでこういったカベ、見たことありませんか?


サクッと切られたような断面。
…というより建物が輪切りにされることなんてあるはずが…

あるんです。平入りの建物の連続。
一般的には町屋と呼ばれているわけですが…

分かりにくいですよね。
「通りに沿って所狭しと互いにくっつきあってお店が並んでた」とでも考えてください。


ね。ピッタリくっついてます。
そして屋根と下屋(1階と2階の間の屋根)の間には卯建(うだつ)。
で、その先にはビルが建っていますね。


そのように、隣の建物が無くなった瞬間…
こんな姿が町なかに現れるわけです。


きっともともとはこういった姿で建ち並んでいたはずなのに…。



私がその姿を見たのは岸の辺の道。
かつては住吉街道とも呼ばれた「紀州街道」に面した建物が戦火をくぐり抜けて今に。


街道に面する商家の数々。
「店」の語源は見世棚(みせだな)から。といわれていますね。
だから店と書いて「たな」と読んだりもするわけです。

「見世」の文字がなんとなく連想される建物が建ち並ぶ街には
いまだ輪切りにされた姿が残っているんですね。



そんな堺の建物には「堺刃打物」の看板が。
優れた鉄の加工技術で栄えた堺の歴史を感じさせてくれました。



輪切りの景色が見られる場所は
まさに今「大切な町並み」が失われ始めている、そのシルシなのではないでしょうか?