♪粋な黒塀、見越しの松に…春日八郎で有名な「お富さん」。
情景が目に浮かびますか?
実は「見越しの松」、私は「神輿の松?」って思っていたのです。
正しくは見越し。塀越しなどに見える松の木ですね。
こんなカンジ?
それよりも粋な黒塀。
漆喰が好きな私はついつい黒漆喰を連想してしまうのですが
本来は板壁がそれにあたるようです。。
お富さんの原作は歌舞伎の与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)。
「切られ与三」のほうが有名ですかね。
舞台となった玄冶店(げんやだな)は今の東京都中央区日本橋人形町だそうです。
そしてその塀は板壁。
焼き杉に灰渋や渋炭(柿渋に灰や炭を溶いたもの)が塗られていたのです。
さて、柿渋は名前の通り渋柿から作られます。
柿を絞った液を発酵させ、熟成したもの。豊富に含まれるタンニンが、塗られたものに防腐効果を与えます。
同じ用途では今ではオイルステインが主流になっちゃいましたね。
その黒は粋(いき)ではないでしょう。
そんな柿渋ですが、近年見直され、国内各地で生産されているようです。
また、「漆喰に柿渋を混ぜる」といった相談をいただいたことがあります。
漆喰は腐るものではないですから、あまり意味がないようです。
ほとんどが漆喰の主成分である消石灰に取り込まれてしまいます。
実験もしましたが、混ぜることによる優位性は…。
う~ん、どうなんでしょうか?