各地に残される古民家。そこには昔からの知恵がカタチになっているんです。先日ご紹介したばかりの切り落とし造りをはじめ、高八方造りなど、独特のカタチに屋根を切り欠いた古民家が残されています。それらのカタチ、主な目的は「養蚕」のためでした。
北関東に多い切り落とし造り
山形県などに多い高八方造り
どちらも効率よく採光するために考えられたですね。
ところが、ここでもう一つ説明が必要な言葉がありますね。
「養蚕」ってナ~ニ? って方、多いですよね。
養蚕(ようさん)とは絹を作るために昔も今も変わらない伝統技術。
「絹」「きぬ」「シルク」…原料がどうやって作られているのか知らない人も多いので、簡単にご説明。
素敵なシルクのドレスも、まず絹糸が織られて作られますね。
そして絹糸を作るには…
1)桑の葉を用意する。
2)おカイコさんに食べてもらう。
Silkworms (蚕与桑叶) / eviltomthai
3)スクスクと成長するとお蚕さんが繭(まゆ)を作ります。
cocoon-white / 白石崖
4)沢山飼って沢山繭を作ってもらいます。
5)熱をかけ、中の蚕を殺し、繭から糸を紡ぎます。
6)生糸(きいと)の出来上がり。
…気持ち悪い??
しかし、コレが弥生時代から我が国に伝わったといわれる養蚕(ようさん)から絹を手に入れる方法です。
紀元前3000年の中国から現代にいたるまで、「絹」であるからには必ずカイコが吐いた糸を使っています。カイコがいたからこそ「シルクロード」での交易が栄え、文化が成熟していったわけです。
これこそまさに「伝統素材」。
気持ち悪いと思った方はナイロンの服でも着たらどうでしょうか?
我々の生活は食糧以外にも、様々な生き物の犠牲の上に成り立っているのです。