この手を憶えていますか?
そうです。あのシーンです。
名作のお手本になったとされるのがミケランジェロのフレスコ画「アダムの創造」。
ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画として有名ですね。
この天井画に限らず、ルネサンス期のヨーロッパで創作された名作と呼ばれる壁画や天井画は、そのほとんどがフレスコという技法で描かれたものです。
で、フレスコ画ってどんなものか…
そろそろ「今さら聞けない」お話になってきたのかもしれませんよ。
どんな技法なのかを簡単に説明しますと
1.石灰モルタルを塗る
2.生乾きの時に、顔料を水で溶いたもので絵を描く
3.乾いたら出来上がり。
文字にすると単純ですが、かなり難しい技法なんです。絵の具と違い、重ね塗りして修正できませんし、下地の石灰モルタルの乾き具合に合わせて塗らねばなりません。
フレスコ画の下地に使われる石灰モルタルはすごく単純なもの。
未乾燥の石灰モルタルに顔料がのせられます。
で、石灰モルタルからは石灰の主成分、カルシウムがたっぷり溶けた水が浮きます。カルシウムが透明の結晶を作り、のせられた顔料を包み込むのです。
だから昔の絵画もキレイなまま残っているわけですね。
これが、絵の具だと?
顔料を溶いた油やニカワなどが傷むと剥げてしまいます。
ちなみに古代からの贈り物、約2万年前の壁画、アルタミラやラスコーの壁画は天然のフレスコ画といわれています。
Prof saxx / Wikipedeia
鍾乳洞の石灰質の岩肌に描いた絵が、そのまま石灰分にコーティングされ、数万年保存されてきました。我が国の古墳壁画が千年を越えて残されたのも同じ原理だそうですね。
石灰に古代のロマン、感じていただけたでしょうか?