2018年4月17日火曜日

アブラが大切
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スーパーなど、食料品を売っているお店で「アブラ」が相変わらず大人気ですね。

どうやらTVの健康情報が火付け役だったようです。
荏胡麻油と亜麻仁油、いずれも店頭ではその効能が大きく書かれています。

でも、荏胡麻油や亜麻仁油、いったいどんな油なのでしょうか?

というのが、今日お話。

このお花の写真。白い花が何の花か答えられる方はほとんど居ないと思います。
Tung Oil Tree {vernicia fordii}
Tung Oil Tree {vernicia fordii} / Drew Avery


「アブラギリ」という木の花なんです。

工芸品などで昔から使われてきた桐油。「桐」という名が付いている通り、木材の桐から採ったものと皆さん思っていませんか?実は油を採るのは、このアブラギリという植物の種から採るのです。
Tung Tree fruits - source for oil
Tung Tree fruits - source for oil / Tatters:)


ちなみに キリはゴマノハグサ目ゴマノハグサ科 アブラギリはトウダイグサ目トウダイグサ科。
まったく違う種類なのです。

コレが我が国でいう「桐の花」ですね。
Empress Tree (Paulownia tomentosa)
Empress Tree (Paulownia tomentosa) / magnolia1000


現在、アブラギリは西日本、そして中国に自生しています。そして現在、国内の桐油の産地は若狭が有名だったのですが、現在流通しているのは安価な中国からの輸入品がほとんどであるようです。

なお、この近年、福井県で桐油の復活を目指した活動が行われています。
<関連記事>
 ●林業ニュース「福井 アブラギリの「桐油」商品化試み」
  http://ringyou-news.blogspot.jp/2009/07/blog-post_1315.html
 ●永平寺町、町の木アブラギリ [3]新燃料や地域活性に、第4章あなたのまちの共生・町編
  http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/tsubasa_again/30935.html



さて、伝統的に使われてきた油の種類を一通り。

菜種油  食用でも有名ですね。
漆喰油には最も多用されています。
桐油 上記の通り、油桐から採った油。
今でも伝統工芸では珍重されていますね。
漆喰では島根や鳥取などを中心に。
荏油
荏胡麻油
荏胡麻の種から採った油。
歴史的には、菜種油が使われるようになるまでは、
この油が食用油だったそうです。
韓国焼肉のお店で葉っぱが出てきますね。
亜麻仁♪亜麻色の長い髪…で知られる亜麻の種から採取したもの。
油絵の具にも使われていますね。
亜麻の茎の繊維は麻製品として使われています。
リネンといったら亜麻のことです。
魚油名前の通り、動物由来の油。
イワシなど、青魚を煮詰めて採っていたそうです。
漁村で多用されていたようです。(ワタシの地元もそうです。)
鯨油クジラから採った油。外国が行っていた捕鯨の目的も油でした。
ペリーさんの黒船来航時に開港させられた表向きの目的も
捕鯨船の給油のためでしたよね?
今ではかなり入手が難しくなっていますが…。

油には酸化して固まりやすいものと、そうでないものがあります。
油紙などに使われてきたのは固まりやすいもの。これを乾性油といいます。
桐油や荏油、亜麻仁油などがそうですね。

被膜となって保護する性能を持たせるためにはこうした種類の油を使う必要があるんです。

そのほか、食品用に胡麻油、綿実油、大豆油、オリーブ油などもありますね。
単に「油」といっても多種多様。ちゃんと用途に合わせた選定が必要だということです。

たとえば、漆喰に使う場合は油の種類によっては混合がしっかりしていないと油ムラが出来て、黄色または茶色っぽいムラが出来ることがあります。

まさに適材適所。
ただし、その材が「伝統素材」として入手しにくくなっていることも事実だと言えます。