漆喰や土壁には、原料として?(=すさ)というものが加えられます。
それはワラや麻などの植物の繊維。
それは単に切りそろえればよい…というものではなく
作業をしやすくするためや、仕上がりを滑らかにするために
様々な手を加えているのです。
今日は、そのすさを作っている製造現場を訪問しました。
実は、国内で麻すさとして流通しているものの原料のほとんどは
「南京袋」と呼ばれる、豆類や香辛料が輸入される際の袋。
Katorisi/wikipedia
この袋を洗ったり、刻んだり、漂白したり、と気の遠くなる作業を施して
「麻すさ」が出来上がるのです。
毎日、毎日、繰り返し原料と向き合うのは、伝統素材製造者として当然の作業。
ですが、ご自分から「前回のすさはどうでしたか?ご意見があれば直しますが…」と
尋ねられると、逆に申し訳ない気持ちにもなります。
それだけ一生懸命造った原料。
他の材料と混合されて漆喰となり、そして左官職人さんによって壁にされます。
見えないところに、伝統素材への情熱が隠されているのです。
が、この「麻すさ」を製造している方々、国内に数人しかいらっしゃいません。
用途も主に漆喰原料として。
麻すさが無くなれば、漆喰は作れませんし
漆喰の壁が無くなれば、麻すさが売れず、続けていくことも出来ません。
伝統素材を守ることは、左官文化を守ること。
左官文化を守ることは、伝統素材を守ること。
お分かりいただけるでしょうか?